6月18日に開催された1dayラボの様子です。お写真の掲載許可をいただきました。ありがとうございます。
テーマは「色」
今年度最初の1dayラボは、新一年生さんも新たにお迎えするということで、親しみやすいテーマを考えました。身近にあるいろんな色について「感じる」と「語る」を中心に、手を動かしながら1日を過ごしてみようと思いました。
開始前
いくつかおもちゃで遊びながらみんなが揃うのを待ちました。色の美しさや、重なり、影、配色などといった、今回のテーマに関わりのあるおもちゃ用意し、お部屋に入った方から自由に遊べるようにします。
初参加で少し緊張していた方もありましたが、おもちゃに手をのばし、並べたり積んでみたりと、思い思いの時間を過ごしました。少し緊張も緩んだでしょうか。
ラボスタート
みんながそろい、自己紹介を兼ねた「かたろーぐ」というゲームで遊ぶところから始めました。
1人ずつ順番に出題者になり、好きな色を3つ選びます。その中で出題者の一番好きな色は何色なのかを、出題者は様々な質問をして当てます。
「今、この中にいる人の服の中にありますか?」
「ジュースによくある色ですか?」
「空の色にありますか?」
「その色の、どんなところが好きですか?」などなど。
質問する方も頭をひねりますし、答える方も、これを言ったらすぐ分かっちゃうかも?!と悩みます。
言葉でのやり取りを楽しみながら、人それぞれに好みや感じ方があること、また、それは自分とほかの人とでは違うということを感じてもらえたでしょうか。
手を動かす
みんなでゲームをして少し他の人のことがわかり、リラックスした気持ちになった頃、制作を通してひとりひとり自分と向き合う時間に移ります。
ぬらし絵に挑戦しました。水でぬらした紙の上に、水で溶いた絵の具を広げていきます。線で何かを描くというよりは、面で色の広がりを楽しんでもらいたいと思ったので、太めの筆を使用しました。
まずは、黄色を一色だけ使います。色が紙の上で広がっていきます。
どこから描こうか、どの向きに筆を動かそうか、じっくり考えている人、やってみてから考える人、どんどんやってみることが楽しい人、取り組み方はさまざまです。
次に、青い絵の具を足しました。新しい色が鮮やかに広がります。(やっぱりシュトックマー社の絵の具は美しい!)色の濃淡が生まれたり、思いがけない方向へ色が滲んでいき、さっきの黄色と混ざり合ったりしていきます。色の重なりあいを楽しみました。
最後に、赤い絵の具を加えました。紙いっぱいにどんどんと色を重ね、色の混ざり合いを楽しむ様子がありました。
気持ちの赴くままに筆を滑らせたり、点、点と筆を落としてみたり、筆の使い方を工夫してみる。
描いているうちに、画面にモチーフを見出して一つの作品にしようとする。
この色とこの色を混ぜたら、この色になるはずだ、と、色見本のように並べて描いていく。さまざまな姿がありました。
水を多く使っているので、思っていた形にならなかったり、運ぶときに色が混ざったりと、予期せぬ仕上がりになることもあります。このような偶然性も、にじみ絵の魅力です。
今回、は描くもののモチーフ、テーマを指定していません。ひとりひとりの中から、湧き出てきた表現です。どれも本当に素敵で、ついつい「素敵。きれい。」と、言いたくなるのですが、ぐっと飲み込むように。評価ではなく、作品に表れていることを具体的にフィードバックするように努めました。
絵の具が余ったり、もう描き終えたという人は、折り染もやりました。浸し方によって現れる模様は様々で、何度もやってみたくなります。
たくさんの作品が並びました。
休憩
ぬらし絵が落ち着いた頃、お腹がすいた人からお弁当にしました。
お片付けのときに色水をまとめているうちに、色水遊びが始まったようです。この色水、捨てないで取っておいてほしいという声もありました。
お弁当のあとののゲームタイムも、みんなが楽しみにしている時間です。一緒に盛り上がり、もう一回やろう‼︎という声があがります。
色探し
お天気の良い日でした。午後は、お部屋を出て自然の中に色を探しにいきました。
準備として、ワークシートを作成します。自分の好きだなと思う色を、三つ選び、シートに貼り付けました。そしていざ、近くの公園へ。外に出るとなると、子どもたちの中から意見が上がります。
「2列になったらいいんじゃない?」
「リーダーやるから、その後ろに並んで〜」など。
外に出ると、さっそく「色見つけた!」と元気な声がしました。空の色、看板の色、道路の色、いろいろな場所に目を向けます。
会話も弾みました。公園でたくさんの花を見て、
「色あった!この花は、なんていう花?」
ワークシートを見ながら
「近い色なんだけど、ちょっと、違うなぁ」
「このお花、スケッチしてもいい?」
「紫陽花がたくさん咲いているね」
「全部見つけたよー‼︎」
自分で選んだ3色を見つけたあとは、ランダムに折り紙を引いて、その色を探してもらいました。折り紙の裏に、見つけた場所を記入してもらい、また返してもらいました。その折り紙を、また別の子が引いて、色探しにいくこともありました。また違う場所で、その色を見つけることができたり、この色は「なかった」と記入されたものでも、別の子が「ここにあったよ!」と見つけてくれました。
微妙な色の違いに気づいたり、自然界にはあまりない色があることに気づいたり、季節や手触りを感じたり。それぞれにいろいろな発見があったのではないかと思います。
「秋には、どんな色があるんだろうね」
そうですね。季節ごとに色は変わるのでしょうか。ラボから帰ったのちの生活の中でも、いろんな発見を探してくれたら嬉しいです。
公園から帰ると、午前に描いていた絵が乾いていました。自分の絵を、回収します。
「これ、自分のじゃない」という絵がちらほら。水で濡れている時と、乾いた後では、それくらい印象が違います。これもまたおもしろい発見です。
乾いた作品を、じっくりみてみます。何か見えてくる?
「ワニに見えてきた」と、目や歯を書き入れる人。
「海の中にいるみたい」と、海の中のお城を書き入れる人もいました。
ステンシルシートを使って、切り出してみるとまた印象が変わります。絵の、どの部分を使おうか?想像が膨らみます。
完成した作品を、お部屋の中に展示しました。自分が決めた好きな場所を選びます。作品を隠して貼ったから見つけてね!と、謎解き風の展示もありました。
それぞれのクリエイティビティを発揮して、どんどんやりたいことが膨らんでいくという姿が見られました。
1dayラボでは、自分のやりたいことを十分にやってみることができる、と同時に、それは他の誰かの我慢の上に成り立っていないかということを注意しています。誰もが気持ちよい1日を過ごすために、大きな声だけを拾うのではなく、ことばに出せない思いを対話として引き出し、話し合いで物事を決めていく、解決していく機会にもできればと願っています。1日ごとの取り組みですが、毎回いろんなドラマがあり、スタッフも気づきをもらっています。