【krtekスタディツアー2024レポートNo.4】ハラッパさんのフィールドと劇団ひだまり、そして研修

昼食後しばらくして、外に出かけることになりました。ハラッパAFTERSCHOOLさんは、建物の中だけでなく、近辺の文化施設を有効に活用しています。この日、出かけたのは、秋田文化創造館のお庭でした。創作鬼ごっこ「フリスビー鬼やろう」と声をかけると、学童さんたちから歓声が湧きました。

暑い中でしたが、ハラッパの学童さんたちは本当によく走っていました。機敏だし、持久力もあり、日頃から体をよく動かしている印象でした。室内だけではなく外に出て動くこと、感じること、考えること、どれにも偏らず、学童期に必要なことは何でも提供できるよう工夫されているのが伝わりました。

ないからできない、ではなく、あるものをできるだけ活かす。店や保育室の環境づくりで私自身も心がけていることですが、楽しんで工夫するところから始めたいと思います。

ハラッパ代表ルミさんからのメッセージにもそのことが込められていました。

ハラッパはおもちゃがたくさんあっていいなと思ったかもしれません、人数も抑えているので扱いやすいだろうと思ったかもしれません。いつも保育研修で多くの先生方が口にするのは、うちはおもちゃがないから出来ない、予算が無い、人が足りないから難しい、、ということ。最初から出来ないことを理由にあきらめるような声がとても残念だなと思うのです。今回はモノや目に見える部分だけでなく、子どもたちに寄り添った環境をみていただきたかったのですが、気づきはあったでしょうか?
ないもの(ゼロ)を1にするのは自分次第。私も幼稚園の現場で20年やってきましたが、与えられた環境の中で工夫すること、自ら楽しむことを忘れたことがありません。

ハラッパさんの建物に戻ってからおやつです。この日は、アイスに新潟産のお菓子「柿の種」をトッピングしたものと、冷やしきゅうりでした。秋田×新潟のおやつの遊び心。毎日楽しんでいらっしゃるのだと思います。

そして、研修に入る前の少しの時間、ハラッパ有志「劇団ひだまり」による劇の上演がありました。劇団ひだまりは、子どもたちの中から自然発生した劇活動のようです。演じたいという思いがあっても恥ずかしさを感じる年代だと思うのですが、驚くほど堂々と演じて見せてくれました。こんな表現をする自分は周りからどう思われるのか、人の目を気にしてやってみたいことができなくなってきます。きっとそのきっかけは、誰かが「あの人のあの表現変だよね」などと漏らし、自分もそう思われるのが怖くなること。ハラッパさんの中からそんな声は上がらないのでしょう。認め合いを育てること、実際にやってみようと思うとその難しさに気づくはずです。

脚本や衣装、進行など、自分たちで考えながら、大人も時々アドバイスして、限られた学童の時間やメンバーの中、少しずつ進めているようです。演目は「シンデレラ」です。第2幕まで見せていただきました。まだまだこの活動は続くようです。

大人が、ゼロから1への工夫を楽しんで環境を作っていれば、そこにいる子どもたちも、与えられるものばかりではなく、自分たちで創っていく楽しみを見出だせるようになるのではないかと思いました。

劇団ひだまりさんの劇を見せていただいた後、そのお部屋は大人たちの研修の場になりました。

参加者のレポートを記載します。

“育てる”という視点 大人の役割と覚悟をあきらめない育てるということ・・・
丁寧な日常を示す
こどもは“小さな大人”ではなく、“こども”として尊重する。→対話に繋げる
美しいもの、本物に触れる環境を日常に。 
(大人が教えようとするのではなくて、こどもが自ら学びたいと思う環境の設定。実現へのステップを示す。) 
こどもが育つことを支える。気づき、失敗できる環境。(安心と安全の提供) 
身体に入るものを吟味する。(手作りのおやつ・・・安全であること、味覚・文化を育てる)

るみさんの思いが、覚悟とパワーとしなやかさと根気づよさを持って形にされていること、こどもの幸せをあきらめず、考え続けているお話にワクワクしました。ありがとうございました!!

ハラッパさんの子どもたちののびのびした、生き生きとした表情が心をあたたかくしてくれました。ルミさんからお話を聞いたり様子を見ていて当たり前ですが本当にいろんな子がいて、でもどの子もすごくきらきらして見えました。ルミさんやすがけんさん、スタッフのみなさんが人と人として向き合っているからこそ、そして主体的に過ごすことがきちんと保障されていて、子どもたちもそれがちゃんとわかっているからこその姿なのだろうなと感じました。

パラッパさんにいる間、新潟に帰ってきてからもずっと自分のいる学童で何がすぐにできるかを考えていましたが、結果、「私は『安心して過ごせる居場所づくり』に尽力しよう!」いう考えに至りました。
目の前にある課題を前向きに検討し工夫しながら、これからも諦めずにやっていこうと思います。

「子どもの本当の幸せ」はハラッパさんにあったような豊かさなのかな、と思っています。物質的な豊かさのことではなくて、過ごしている時間の豊かさや、人と人が影響を受けながら育ち合う、豊かな人間関係が幸せをもたらすのかな、と今は感じています。なんだか自分や自分を取り巻く環境の足りていないこと、できていないことばかりが目について苦しいなと感じていましたが、今ある幸せをまず大切に、そして私自身が豊かに生きていきたいと考えています。

あっという間に秋田での時間が過ぎました。秋田までのご参加の方とはここでお別れです。時間は長くはなかったのですが、みなさんがとても多くのことを感じ取ってくださいました。

「子どもの幸せを見つける旅」

北海道浦河町へと続きます。

秋田空港へ駆けつけ、48人乗りの小さい飛行機に乗って北海道へ向かいました。赤い夕焼け空の中を飛び、丘珠空港へ到着した頃は夜が始まっていました。無事本日の宿泊地に到着し、お風呂に入ったり、近くのコンビニまでお散歩に行ったり、北海道のお寿司に出かけた方も。

疲れているのに話しは尽きず、気がつくととうに日付が変わっています。ようやく眠りについて、一日目が終わりました。