同じ年齢でも、大人がどのように接してくるかで子どもの育ち方は随分変わるのではないかと感じています。それは生まれてたった3年の間でも。3歳でも。
2歳過ぎて赤ちゃんを脱した時、魔の2才児と呼ばれるような大変な時期。第一次反抗期と言われるのもこの頃。子どもはまだまだ未熟です。言ったって聞いてくれない時期です。暴れたり泣いたりして、人のいるところだと肩身が狭くなってしまいます。
この時の「見ている」と「根気よく丁寧に」は付き合う大人の大きなポイントなんだろうと思います。
この時期のお子さんに『しつけができていない』と周りが評価するのは早すぎると思います。「今やっているところなんです!」と反論していい。公共の方にそれを受容する余裕が必須だと思います。子どもはそういうもの、今頑張って育てています、それを社会で共有して欲しいです。でもその主張を元に放っておいていいわけではもちろんなくて、6歳頃を目指して真剣に向き合う覚悟は必要なんでしょうね。
同じ対応でも子どもによって受け止め方は異なります。その子に合わせたやり方で、大人の側の工夫が必要になっていきます。
店内は遊べるおもちゃがたくさんあります。先に大人の方だけいらして「うちの子を連れてくるとめちゃくちゃにしてしまうことが心配です」とご相談いただくことがあります。そのケースでは本当にめちゃくちゃになったことはほとんど印象に残っていません。側にいる大人がその子の特性をよく把握しており、社会的な配慮があり、店内でも目を離さないでいてくださるので、子どもは自分に合ったおもちゃを見つけ打ち込んで遊びます。そのような大人と一緒に適した環境の中にあると、普段は問題行動と言われてしまうことが突出した能力の発揮に簡単に変えられます。大人も含めた環境次第、とは多くの保育者、先生方も感じていることです。
ゲームに対象年齢があります。理解の発達の度合いが大きな目安ですが、それだけではありません。理解だけなら3歳さんでも文字や数、記憶、論理、思考が先立って発達していることもよくあります。それに見合ったやりごたえのあるゲームもたくさんあります。でもゲームにいちばん大切なのはみんなで同じルールを守ること。順番を守り、相手の手番も尊重し、勝ちも負けも受け入れることができなければ一緒にゲームで遊ぶ楽しさを本当に伝えることはできません。根気よく伝え続ける。ルールは妥協しない、でも時々手加減して勝つ嬉しさを経験させていく。繰り返していくうちに、小学生になる頃にはゲームの理解もマナーもよく育っていると感心することが度々あります。ゲームは良いツールです。難しいことができるより、楽しさを共有できることをまず目指したいと思います。
3歳からでいいのかというと、やはりスタートは0歳からなのではないでしょうか。
自我が芽生えてきた時に身近な大人の言葉がスッと入ってくるかどうかは、それまでの信頼関係の積み重ねです。よく見て、自分に合ったやり方で対応してもらってくれば、土台はできています。お家で子育てされている方に向けて、今は、専門的に学んだスタッフを配置している子育て支援の場が増えました。時間を過ごすための場、おしゃべりと癒やしの場としての利用に加えて、どうやって子どもとの信頼関係を作っていくかを学ぶ場としても活用していただけたらと思います。
いろんな時期のお子さんと関わる先生方とお話させていただき、どの先生も子どもが幸せである社会を心から望んでいると思いました。そういった先生方と学び合う機会も進めていきたいと考えています。『保育STUDY2018』は遊びと環境をテーマに準備を進めています。大きなものはなかなか変えられませんが、心に思いを秘めた大人たちとの出会いをいつも楽しみにしています。