医学町ビルにて2回目の『イタリア芸術教育ワークショップ』でした。当日の様子です。
1回目はこちら
午前【じっくりアートワーク】
イタリアントイより、『Paolo Pi 』という道具を使いました。
Paolo Piはどんなことができる道具か、講師の宍戸さんがやって見せてくださいました。
真剣に見つめています。
やってみよう!
やりたい。
Paolo Piは、さまざまな彫りのある木製キューブに絵の具をのせて彫りの模様を紙に写し取ります。絵の具の量、塗り方、紙を乗せるタイミング、こする範囲と時間と力加減。毎回仕上がりが違います。キューブの面や種類を変えてみるとまた新しい模様が生まれます。満足する刷り上がりに出会いたくて夢中で繰り返してしまいます。
最初は一つだけのキューブ。やがていくつかをつなぎ合わせるうちに、模様が反転することに関心が向き「これ、紙に写ると“L”になるんじゃない?」と、実験。
キューブの数が増えると絵の具を塗る作業も大変になります。
つなぎ合わせた模様。何に見えますか?
(イカ焼きだそうです。)
材料を入れていたお皿も飾ってあげたい。このお皿はのちに『おひさま』になりました。
Paolo Piを使ったワークを通してそれぞれに湧いてきたものをその場のみなさんでシェアしてみました。同じ道具を使ったから共有できた思いと、同じ道具を使ったのにそれぞれの表現が違うことを認め合う思いが、自然とそこに同時にありました。
午後【GWファミリーアート体験】
『Flora Zu』『Gregor Sa』『Zoe Ci』など、フロッタージュ(こすり出し)と型抜きの道具を主に使い、技法を体験しながら世界観を作り上げていきました。
すぐにきれいな模様が浮かび上がるフロッタージュは手軽で楽しいからたくさんできます。
ここにも。それからあそこにも、向こうにも。
私のお気に入りの場所に。
お手軽にイタリアントイを体験していただけるワークとしてすぐに仕上がるフロッタージュを中心に、形にしていきやすい道具を種類多くご用意しましたが、ちょっと盛りだくさんだったかな…というか、あればやっちゃうんです!次々とやりたいことが湧いてきて、ちょっとお手軽とはなかなかいかない、そんなイタリアントイの力を感じました。
表現活動のために材料がキットになっているものは便利です。よく使われています。キットを使っても自分らしく表現することは可能であり、個性が見られます。でもこのワークで表れたような表現の多様性まではなかなか見えにくいのではないかと思います。湧き上がってきた表現したいことを創り上げる、そんな光景が見られたワークでした。
夜間【指導者向けアート教育講座】
人に伝えるためにはそのための何かを自分が持っていなくては成り立ちません。その何かは、アート教育においては理論だけでは不十分で、実際に体験して感じた、内なる言葉にはできないもの、それが何かになるのだと思います。『Paolo Pi 』を使った作業の合間に講義が挟まれ、その言葉にハッとしながらワークを進めました。
午前と同じく、1つのキューブからこの道具と仲良くなっていきます。
何枚も何枚も、やっているうちに何かやりたいことが見えてきた?
まだ漠然としているでしょうか。
作業は没頭しすぎて疲れます。こんなに集中したのは久しぶり。
このWSはスッキリしないまま終わるのがある意味正解のようです。だってアートってそんな簡単に悟れるものではないですよね、きっと。
深いところへ潜っていってそこにあった扉をトントンとノックしてみた、でもお返事がないみたいな感覚でしょうか。モヤモヤしながら何かを自分に残していきます。それで良いんだ、それが良いのだ、と思いました。体験を通して、無意識のうちにも子どもたちの中にどのように用いていくかをイメージされていたのではないでしょうか。
また開催を予定しております。繰り返し経験するたびにスッキリと晴れていくのかもしれません。次回もどうぞお楽しみに。