モンテッソーリとの出会いと、おもちゃ屋

私がモンテッソーリ正教師の資格を目指した経緯はほんの偶然です。アメリカに滞在中、父の知り合いがモンテッソーリ園を持っており、そこに勤めてみないか、ついでに資格も取りに行ったらどうかと勧められたのがきっかけです。学生ビザだったので、学校に行っていればお給料をいただいても差し支えないということだったと思います。
そんなわけで、同僚のスリランカの女の子とアパートをシェアし、モンテッソーリスクールに勤めながらAMSというアメリカの団体の教師資格の学校に通いました。スリランカ人の生活習慣や、アメリカの子どもたちの合理的なランチボックスなど、いろいろびっくりしながらのモンテッソーリの勉強、この頃のこと、多分一生忘れません。

今見ると改めて参考になることもいろいろ。

試験はいつもきつかったー一番良いのが多分これ。

AMSは、後で国際資格の先生たちと仕事をしてみて気づきましたが、マリア・モンテッソーリのオリジナルのメソッドに柔軟性を持たせたものだと思いました。つまりちょっとゆるめ。副教材を積極的に取り入れ、メソッド以外の教具の使い方もありました。
モンテッソーリ教育は、オリジナルメソッドに忠実であってこそ意味があるとも言われます。意味、それは、私は理論の部分だと思っています。教具の使い方は、理論に基づいた部分は譲らずとも、逆に理論をふまえていれば柔軟性があっても良いと考えています。理論にはポイントがあって、ひとつは『子どもの発達段階に即していること』そして『自立すること(=自分らしく生きること)』だと理解しています。

おもちゃ屋を始めて、シュタイナー教育のおもちゃにも、フレーベル理論のおもちゃにも深く関わっていくようになりました。いずれも素晴らしい理論、素晴らしいおもちゃです。モンテッソーリ正教師であっても、子どもに良いおもちゃはすべて子どもには大切だと思っています。理論の根っこが共通していると感じているからです。

『子どもの発達段階に即していること』
子どものことをよく見ることに通じます。発達段階に即するというのは、やらせればできるということとはちょっと違っていて、子どもが持っている、自発的な成長しようとする力をキャッチして、その力が発揮できるよう環境を整え、乗り越えられない部分をサポートするということ。意識して子どもを見て感じ、発達理論をもとに適切に関わるというとても技術の高い仕事です。

『自立すること』
その子らしく生きるための援助です。これもとても難しいです。誰だって子どもには最高に幸せになって欲しいからこそ、このような生き方がきっと幸せと思う最大のお手伝いをしています。この子にはどういう生き方が幸せなのだろうと、いつも迷い悩んでいることでしょう。属する社会の受け入れ方も大きく関わってくるので不安も大きいですが、その子なりに課題を自分でクリアしていく力をつけてあげられることが大切なのだと思います。

遊びは、最も適切に効率よくに幼児期のこういった課題を解決してくものと感じています。教育法は、アプローチは違っても理論は同じところにあります。結果につながる見通しが見えないことが不安ですが、見えていると思っていたことはいつでも簡単に変わります。その時々に対応できることが生きる力と信じて、今を大切にできたらなと願います。良いおもちゃが少しでもそのお手伝いができたら、おもちゃ屋としては嬉しいです。

9月12日、このことをテーマに『クルテク保育study 2021』開催予定です。今年らしいやり方で準備進行中。詳細は後日発表いたしますが、ご興味ある方はどうぞご予定くださいね!