適した年齢

ジーナアバカスというおもちゃが入って来ました。
定番品ではないので、お求めいただいたあと数ヶ月お待ちいただく品物ですが、集団保育の場など、色んな所で活躍してくれそうな、美しいおもちゃです。

 

上からは、アクリルのフタが固定されていて、玉を触ることはできません。下の穴から指を入れて玉を動かします。玉は10色が10個ずつ、100個。
目的を持って100個の穴を埋めるには、相応の集中力、指先のコントロール、根気が必要です。近道はなく、ひとつひとつ、コツコツと。玉は軽くて、ちょっと力を入れすぎるとはみ出したり遠くへ転がって行ったりします。何人かで一緒にやると協力体制が生まれます。
ジーナの着色はとてもきれいで、模様が完成すると嬉しいです。

なんといっても、玉が外に出ないのでパーツがなくなるということがないのが安心ですね。
この遊びに見せる集中力はすごいものがあると、見ていると思います。

このおもちゃを傾けると、下の方にぐちゃぐちゃと玉が集まります。ふと、それをおもしろがって振り回したり、玉をゴロゴロ移動させて遊んだりしたら…このおもちゃの意図から外れてもったいないだろう、でもやりたくなる子はいるだろうな、と思いました。ひとつのおもちゃでいろいろ遊べるということと、なんでもやっていいということは、別のことだと思います。いろいろ遊べるというのは、そのおもちゃのもつ遊びの目的の中でいろいろやってみるということ。転がるおもちゃなら、転がる中での変化。これは指先で模様を作るおもちゃだから、模様を作るところ、並べるときの指の使い方で工夫をして欲しいと思います。

これは、何歳の子がどのおもちゃで遊ぶ?ということと関わってくると思うのです。
対象年齢が高いおもちゃを早いうちから使わせてあげたい。お子さんによっては使いこなすかもしれません。でも、それが使える年齢と、使い方が守れる年齢は、必ずしも一致しないのです。やはり、おもちゃを作った人が考えた対象年齢は、子どもの発達に即しているのではないでしょうか。シロフォンつき玉の塔が3歳になったらもう遅いということはないと思います。ようやく玉を口に入れて誤飲する心配がなくなった年齢です。それまでは大人の関わりが必要です。3歳だと、まだ言ったことの全てを理解して守ることはなかなかできません。反抗期でもありますし。その時期に、使えるからと言ってルールが必要なおもちゃを無理に早くから持たせるとちゃんと遊べなくなりそうだなあ、と感じます。

この、ジーナアバカスは、下から勢い良く玉を弾くと、アクリルのフタにコツンと当たります。その音と感触が楽しくて、わざとコツンコツン当てたくなります。メーカーさんの前でそれをやっていたら、「音をさせないようにして遊ぶんですよ」と優しくたしなめられました。うちの子どもがこれで遊ぶときに、そのことを注意として言いました。もう末っ子ももうすぐ10歳で、さすがに言えばわかる年齢です。なるべく音を立てないように、注意して、また配色をよく考えて遊んでいました。

 

まだこのようには遊べない時期に、叱ったりあきらめたりしながらおもちゃが使われると、遊びもおもちゃも急に楽しいものではなくなるような気がします。お子さんに合わせて、発達段階を踏まえておもちゃ選びをされると、きっと豊かな育ちのお手伝いになる、と思うのでした。