プルトイいろいろ

引っ張って遊ぶおもちゃ、プルトイと呼んでいますが、動物などのかたちにタイヤと紐がついたものです。ひとつのジャンルのおもちゃにかなりたくさんの商品がある、例えばラトル、例えばお人形、各社のカタログに載っているものを全部並べたら、100種類くらいにはなりそう。その中で、店では種類を絞れるだけ絞ってご紹介しています。select toys ですから。キリがない、場所がない、ありすぎても選べない、ということが理由ですが、そうしてみると、プルトイというジャンルではけっこう種類を置いている方だと思います。

引っ張って遊ぶにもいろんな段階があって、ムカデはけっこう簡単です。平たいから転ばない。歩きはじめのぎこちない動きでも、ちゃんとついてきてくれる。あひるになると難しくなってきます。曲がり角など気をつけないと倒れてしまう。ムカデからあひるまでの間には発達段階で半年以上の差があると思います。

店内でご紹介しているプルトイは、音や動き、デザインがそれぞれで、犬もあひるもムカデも2〜3種類ずつあるのですが、どれにもそれなりの理由があって、これ以上増やさないようにするので精一杯。

「ひっぱるおもちゃは引っ張るだけの遊びなのですよね」とご質問をいただきました。乱暴にあちこちにぶつけながら走り、引っ張り回すような遊びになってしまうことがあるようです。おもちゃがあれば良いというものではない事例であり、せっかく入れていただいたおもちゃが逆に悪者にもなってしまいかねない。これはプルトイの面白さを引き出した遊びではないと感じます。でもそれよりおもしろい遊び方を知らなかったら、その遊び方が一番おもしろい遊び方になってしまって、キャッキャと喜んでいるように見えてしまう。

そんなときは、大人がそれよりおもしろい遊び方、魅力を引き出す遊び方を提案してあげてください。例えばプルトイなら、発達段階によりますが、1歳半以降、言葉を理解し体をなめらかに動かせるようになってきた頃であれば、簡単な障害物を並べてその隙間を慎重に、障害物に当てないように歩いてみるゲームを取り入れてみる。慎重に、ひっぱりながら歩くことを楽しいと思う理由がちゃんとあれば、それを楽しんでくれると思います。

もっと大きい子、言葉豊かにイメージもふくらむ頃のプルトイは、ごっこ遊びのペットになっているのを見ることがあります。もちろんお散歩に連れていきます。上手によくついてきてくれます。

おもちゃは、それだけで子どもの相手をしてくれるものという期待。特別なものだからお誕生日とクリスマスのときにお願いするもの。まだまだ根強い感覚だと思いますが、発達に伴う遊びのための道具という視点を持つとまた少し違ってきます。発達はお誕生日とクリスマスのときだけしているのではなくてずっと変化し続けている。それをコーディネートするのは大人の役割で、使いこなすには豊富なアイデアが必要ですし、臨機応変の対応も求められます。おもちゃを見る目が変わり、子どもを見る目が豊かになり、楽しく、意欲的になってきますよ。おもちゃは、おもしろいです。とても魅力的だなあと思います。