時々ご来店くださるフランス出身のお客さまとお話していた時のことです。
店内のあれこれをご覧になって、「なつかしい」「小さいころ遊びました」「通っていた幼稚園で、これで遊びました」「家にありました」とおっしゃいます。小さいころ、というのは40年以上前のことだそうです。
ゲームも大好きで、パッケージをチラッと見て、「これはおもしろいね」と購入するものを決められます。
ゲームは、通常実際に遊ぶ様子を説明させていただくことが多いのですが、フランスからのお客さまは、パッケージでだいたいのジャンルが思い当たるようで、特に説明は求められません。
ドイツを訪れたとき、ボードゲームの販売をあちこちで見ましたが、サンプルなどなく、みなさんパッケージの表を見て、裏を見て、もう一度表を見て購入決定、という感じでした。1000円以下の小箱がびっしり並んでいて、絵本を一冊買うような感覚で気軽にゲームを選んでいる姿が印象的でした。ボードゲームは特別なものではないのですね。家族とよくゲームで遊んだことは、そのお客さまにも印象深い思い出だそうです。
「どうして日本の子はこういったもので遊ばないのかしら」とおっしゃっていました。「幼稚園や小学校の1年生、2年生くらいのときは、学校ではこういう、ビーズ通しや縫い取りで、自分たちでよく遊んでいた。先生は特に何もしなかったわね。」という思い出話にはびっくりしました。「日本の幼稚園では、子どもたち何をしているの?」と聞かれました。うまく答えられませんでした。日本の幼稚園で、自主的な遊びは、まだまだ足りないと感じています。
今、小学校1年生25人くらいのクラスでも先生が一人で運営することが大変になっています。
何十年も前のフランスで、60人くらいの子どもに先生が一人、でも子どもたちは自分の仕事を見つけてそれぞれそれに楽しく取り組んでいて、クラスで何が大変ということはなかったとのこと。
今のフランスはどうかはわかりません。少し前の日本も今のような崩壊はなかったのではないかと思うので、単に文化の違いだけではなく、時代の変化も大きいと思います。それにしても、日本の子どもの遊ぶ時間と内容の足りなさは、驚きであり嘆きであるそうです。そういったお話しを、興味深く聞かせていただいたひとときでした。もちろん流暢な日本語で。