保育は専門職

年度末ということもあって、クルテクでは保育関係との関わりが多いときです。
園から直接ご注文やご相談をいただくだけでなく、保育者を養成する指導者の方、保育を専攻する学生の方、新規園を立ち上げる方、園を選んでいるママなど、本当にいろんな側面から『(幼児教育や支援も含め)保育』ということを考える機会となっています。

折しも、メディアでも、園で起こる事故、園不足、保育者の待遇の悪さなどが、社会問題として注目を集めています。声が上がり始めたことには、いい面もあるでしょう。多くの人がこれまで表に出てこなかった問題に注目してくださることは大事なことだと思います。
しかし、それを見聞きしていると、『保育の質』という課題には、到達することさえ当分見込みがなさそうな気持ちになります。

保育の質という、長期的観点に注目することが、今注目されている目先の問題の解決の糸口になるのではないかと思うことがあります。なぜなら保育の質の議論には、必ず子どもの姿があるからです。そこでは、子どもを一人の人間として尊重して扱う姿勢が求められます。

保育も、介護もですが、比較的近年のニーズであり、それまでは家庭内で家族の仕事でした。プロを養成しながらも、プロと家庭の違いが明確になっていなかったんだと思います。家事代行なんかもそうかもしれない。家庭でやってきたことは誰にでもできると思われて、それは賃金が発生しない形で続けられてきたから、そのまま報酬の基準になってしまったのかな、と思います。

家庭でできない分を専門家が担う時代に、対象者にとっての家族にはなれない代わりに、家族以上のスキルを発揮しなければという意識が保育の質であって、そこを高めることで待遇なども見直されてくるのではないかと期待したいです。

実際、関わらせていただいている中では、いつも保育現場の高い意識に触れ、私は刺激を受けています。どのように環境を整え、カリキュラムを組み、家庭と連絡を取っていくか、ハードな業務の中で、予算が少ない中で、よく研究を続けていらっしゃいます。その参考のひとつになればと思い、3年前から新潟でもおもちゃコーディネーター養成講座を開いていますが、保育の質を上げることを目指して、毎回とても熱い会場となっています。
保育者が「待遇が悪い」という言葉をヒステリックに叫んでいるように取り上げられることがありますが、実際は「給料安いんだよねえ!」と明るく笑い飛ばしながら次の準備をするタフさにもよく出会っています。

現場のマイナス面を、そこだけ取り出して課題にするのではなく、プロとしての具体的な取り組みをもっともっとアピールしていけば良いのではないかと思います。それを表にも出していくように、対象者と現場に加えた第三者も意図的に発信していくことが大事で、それは私にとってもこれから取り組んでいきたいことです。気をつけたいのは、それが、年少さんからプール指導をしてます!英語指導をしてます!という形的なことばかりのアピールではなくて、将来どんな人間が求められているから今何をしなければいけないか、というところへしっかり遡ったものであってほしいということ。

また、保育者自身への利用者からの評価もきちんと機能させて良いと思います。日本の教育現場はそれが足りていない。頑張っても認めてもらえないこと、頑張らなくても指摘されないことは、仕事に対する意欲を奪ってしまいます。保育者が誇りと責任と向上心を持っているかをはからないと、相手は弱者である子どもです、どうしても上下関係が発生します。やはりいちばんに子どもを守るところへ戻りたい。

卵とニワトリみたいで、今の状況からこういった努力をすることは本当に大変なことだと思います。でも質が上がり待遇が良くなれば一挙両得です。クルテクとしてそのためにできるだけのお手伝いができたらと思っています!励まし合っていきましょう!