店内に入っていただいたときに、一面に広がる色についての感想をいただくことがあります。塗装してあるおもちゃが多いですね。ヨーロッパの木のおもちゃらしさと言えそうな気がします。
私は美しい色彩は「遊んでみたい」という意欲を引き出すものだと感じています。きれいなものにはつい手を出してみたくなるということでしょうか。小さい子ほどなおさらかもしれません。
そんなヨーロッパの色づかいのことを考えていたときにふっと思い当たったことがありました。廃材工作です。牛乳パックやペーパーの芯を使った工作はとても一般的で、また良しとされている活動です。それはわかってるつもりですが、でもずっとなにかちょっと、心から素敵とは思えないところがありました。空き箱をガムテープでつなげる。何々ができた!と子どもは嬉しそう。子どもなりの創意工夫がされている。ではさてこの気持ちは何だろう、と思っていました。
色のことを考えたときに、ああ、廃材のままではあまり美しくない、ということに思い当たったんです。廃材には、本来の何かのパッケージとしての役割などを示すデザインがされています。どうしてもそのままでは元の役割を忘れることはできない。用が済んでゴミになった姿を思い起こさせるのがなんとなくもの悲しいのです。でも丈夫で使い勝手が良い上にコストもかからない、いい材料なんです。
もう一工程、色を塗ったらどう?と思いました。
写真は、店内にあるミヒャルスキィ夫妻の工作絵本からですが、この本では新聞紙や空き箱も使っています。そしてそれらには彩色がされています。この船は牛乳パックでできていますが、アクリル絵の具で塗装して良い雰囲気になっているなと思いました。ここまで仕上げることについて、時間はかかりますが、思い入れを持って作っている子どもこそここまでやることにためらいはないと思います。ためらうのは大人なのではないかな。
ゆっくり時間をかけて作り上げていく時間は豊かです。ぬりえやステッチ、モザイクやマグネットもそうですね。美しさを求める(必ずしも巧緻性また芸術性と言うことではなく)という姿勢は平和につながるのではないかと思うのです。みんなで美しくしようという意識はコミュニティの力も高めるでしょう。
もちろん、白木無塗装の積木には別の意図・役割がありますし、全てに色を!ということではないのですが、時々思い出してあげたい要素の一つなのでした。